会議のあとの雑談で、渡された資料の感想を聞かれました。言いたかったのは「細かすぎて全部は読めませんでした」です。口から出たのは This document is very long. I could not read it. の 2 文でした。
相手は理解してくれました。それでも、なんとなく物足りない。「細かすぎて → だから読めなかった」という 1 本のつながりが落ちて、事実を 2 つ並べただけになったからです。
瞬間英作文をしばらく続けた人が次にぶつかるのは、この壁です。中学英語の基本文型なら、日本語を見て 3 秒で英語にできる。単語も足りている。それなのに、自分の英語がいつまでも「短い文の羅列」から抜け出さない。
この記事では、会話で本当に使う中級構文を 8 つに絞り、それぞれを瞬間英作文で口に落とし込むところまでやります。読むだけでは変わらないので、必ず声に出しながら進めてください。
まだ基本文型が不安な方は、先に 中学英語でやり直す瞬間英作文 と 瞬間英作文の例文100選 を通ってからのほうが、この記事の効き目が大きくなります。
基本文型が言えるのに、会話が伸び悩む3つの理由
① 単文の羅列になり、1文あたりの情報量が上がらない
I was tired. I went to bed early. は間違いではありません。ただ、日本語で考えていたのは「疲れすぎていたので早く寝た」という 因果でつながった 1 つの文 のはずです。
短い文に割ると、割った瞬間に「だから」「なのに」という関係が消えます。聞き手はそれを推測で補うことになり、話が平板に聞こえます。英語が幼く聞こえる原因は、単語の難易度ではなく、文と文の関係を言葉にしていないこと のほうが多いのです。
② 日本語の「〜すぎて」「〜ほど」に対応する型を持っていない
日本語には、話すときに無意識で使っている型があります。「〜すぎて…できない」「〜すればするほど」「〜だけでなく…も」。これらは日常会話に頻繁に出てくるのに、対応する英語の型を持っていないと、その場で英語に変換できません。
結果として、言いたい内容のほうを英語に合わせて削ることになります。「細かすぎて読めなかった」が「長かった。読めなかった」に縮むのは、これが理由です。
③ 知識としては知っているが、話す速度で組み立て直せない
too ... to ... も not only ... but also ... も、参考書で見れば「知っている」と感じるはずです。問題は、会話の速度でその型を先に置けるか です。
too を言った時点で「このあとは to 不定詞が来る」と体が知っている状態と、too と言ってから「次は何だっけ」と考える状態は、まったく別物です。前者は反射、後者は知識です。この差を埋めるのが瞬間英作文の役割です。
中級構文は「文法」ではなく「かたまり」で覚える
中級構文でつまずく人の多くは、覚え方を間違えています。文法書の説明を理解しようとするのではなく、日本語の型と英語の骨組みを 1 対 1 で結びつける のが近道です。
- 日本語の型から入る — 「〜すぎて…できない」と唱えたら
too ... to ...が出る、という向きで覚えます。逆向き(英語→日本語)は読解には効きますが、発話では使えません - 骨組みを先に口に出す — 中身を考える前に
tooとto、soとthat、The moreとthe moreの 2 点を先に置きます。中身は後から入れれば間に合います - 同じ構文を5文続けて言う — 1 文だけでは反射になりません。中身を入れ替えて 5 文続けると、骨組みだけが残って自動化します
平日 15 分なら、1 日 1 構文で 8 日。1 周目は答えを見ながらで構いません。2 周目から日本語だけを見て 3 秒以内を目指します。
以下の 8 構文は、それぞれ 5 文ずつ用意しました。必ず声に出してください。黙読すると、できたつもりになるだけで反射は作られません。
会話で本当に使う8構文
① so … that / such … that —「〜すぎて、…だった」
原因と結果を 1 文でつなぐ、いちばん使用頻度の高い型です。冒頭の「細かすぎて読めなかった」もこれで言えます。
使い分けは単純です。形容詞だけを強めるなら so、a + 形容詞 + 名詞 のかたまりを強めるなら such を使います。
② too … to / enough to —「〜すぎて…できない」「〜するのに十分」
so ... that が「だから…になった」と結果を述べるのに対し、too ... to は「だから…できない」と不可能を述べます。日常会話では圧倒的にこちらのほうが多く出ます。
enough to はその裏返しで、「〜するのに十分なだけ〜だ」。enough は形容詞・副詞の 後ろ、名詞の 前 に置きます。
③ not only A but also B —「AだけでなくBも」
情報を 2 つ並べるとき、and でつなぐと平坦になります。not only ... but also ... にすると「後ろのほうが言いたい」という強弱が付きます。
守るべきルールは 1 つだけ。not only の後ろと but also の後ろを、同じ形にそろえる ことです。名詞なら名詞、good at -ing なら good at -ing。
④ The more …, the more … —「〜すればするほど」
日本語では毎日のように使うのに、英語で言おうとすると固まる代表格です。骨組みは The + 比較級 ..., the + 比較級 ... の 2 ブロックだけ。先に The more と the more の 2 点を置いてしまえば、中身は後から入ります。
短い形もよく使います。The sooner, the better.(早いほどいい)は決まり文句として覚えておくと便利です。
⑤ would rather / had better —「むしろ〜したい」「〜したほうがいい」
どちらも後ろは 動詞の原形 です。to は付きません。ここだけ押さえれば、あとは会話でそのまま使えます。
I'd rather ... は「どちらかといえば〜したい」という控えめな希望で、誘いを角を立てずに断るときにも使えます。一方 You'd better ... は「そうしないとまずいことになる」という 強めの忠告 です。友人には自然でも、取引先や目上の人には強すぎることがあるので、その場合は You might want to ... に置き換えると安全です。
⑥ whether … or (not) —「〜かどうか」
「行くかどうか分からない」「本当かどうか確かめたい」。日本語の「〜かどうか」は非常に多用されるのに、英語で言えずに黙ってしまう人が多い型です。
whether の後ろには 文 も to 不定詞 も置けます。whether to go(行くかどうか)のように短くまとめられるので、まずはこの形から慣れると楽です。
⑦ So do I. / Neither do I. —「私も」「私も〜ない」
相槌として毎日のように出番があるのに、とっさに出ないことで有名な型です。仕組みは 2 段階だけで理解できます。
- 肯定の文に同意するなら
So、否定の文に同意するならNeither - 相手が使った助動詞・be動詞・時制を、そのまま返す
I like coffee. なら一般動詞の現在形なので So do I.、I watched a movie. なら過去形なので So did I.、I can't swim. なら can を返して Neither can I. です。相手の文をよく聞いていれば機械的に決まります。
⑧ It is + 形容詞 + for/of + 人 + to —「(人が)〜するのは…だ」
日本語の「私には〜するのは難しい」を、そのまま I am difficult to ... と訳してしまう事故が非常に多い型です。正しくは It で始めて、動作をする人を for + 人 で示します。
for と of の使い分けは、その形容詞が「人の性質」を表すかどうか で決まります。kind(親切)・rude(無礼)・careless(不注意)のように人柄を評価する語なら of、easy・difficult・dangerous のように行為の性質を述べる語なら for です。
よくある間違い
中級構文でつまずく箇所は、驚くほど決まっています。自分がやっているものがないか確認してください。
✗ 間違いI am difficult to understand this book.
◯ 正しいIt is difficult for me to understand this book.
なぜ人を主語にすると「私は理解しにくい人だ」の意味になる。行為の難易は It is ... for 人 to ... で表す。
✗ 間違いThis box is too heavy that I can't lift it.
◯ 正しいThis box is too heavy to lift.
なぜtoo は to 不定詞、so は that 節 とセット。混ぜて使わない。
✗ 間違いIt was so beautiful day that we went for a walk.
◯ 正しいIt was such a beautiful day that we went for a walk.
なぜa + 形容詞 + 名詞 のかたまりを強めるときは such。形容詞だけなら so。
✗ 間違いHe can speak not only English but French also.
◯ 正しいHe can speak not only English but also French.
なぜalso は but の直後に置く。
✗ 間違いShe is not only good at singing but also dancing.
◯ 正しいShe is not only good at singing but also good at dancing.
なぜnot only と but also の後ろは同じ形にそろえる。
✗ 間違いYou had better to hurry.
◯ 正しいYou'd better hurry.
なぜhad better の後ろは動詞の原形。to は付けない。
✗ 間違いI'd rather to stay home.
◯ 正しいI'd rather stay home.
なぜwould rather の後ろも原形。
✗ 間違い"I don't eat meat." "So do I."
◯ 正しい"I don't eat meat." "Neither do I."
なぜ否定の文に同意するときは Neither。
✗ 間違い"I can't swim." "Neither do I."
◯ 正しい"I can't swim." "Neither can I."
なぜ相手が使った助動詞をそのまま返す。
間違いの原因を言葉にできると、同じミスを繰り返しにくくなります。誤りを「なんとなく直す」で終わらせない考え方は 瞬間英作文は効果ない?伸びない原因と改善方法 で詳しく扱っています。
8つの次に足す構文
上の 8 つが反射になったら、次はここから足していきます。いずれも会話で出番があり、かつ骨組みが短い構文です。
| 構文 | 日本語の型 | 例 |
|---|---|---|
| in order to / so as to | 〜するために | I got up early in order to catch the train. |
| instead of / rather than | 〜の代わりに、〜よりむしろ | I walked instead of taking a taxi. |
| as long as / provided that | 〜する限り、〜であれば | You can stay as long as you keep quiet. |
| as if / as though | まるで〜かのように | He talks as if he knew everything. |
| It’s no use -ing | 〜しても無駄だ | It's no use worrying about it. |
| both A and B / either A or B / neither A nor B | AもBも/AかBか/AもBも〜ない | Neither he nor I was invited. |
一度に全部を覚えようとすると、どれも中途半端になります。1 週間に 1 構文 くらいの速度がちょうどよく、そのぶん確実に口に残ります。
長い文を作る力そのものを鍛えたい場合は、関係代名詞で長い文を作れない人へ や 現在完了形が使えない本当の理由 も同じ考え方で書いています。
SpeakSprint で中級構文を口に定着させる
この記事の例文は、SpeakSprint の練習問題からそのまま引用しています。アプリには so ... that や The more ..., the more ... といった構文が ユニット単位 で用意されていて、日本語を見て英語を組み立て、実際に声に出して答える形式になっています。
紙の教材との違いは、答え合わせが「模範解答と同じかどうか」で終わらない ことです。AI が採点するので、He is so busy that he doesn't have time. のような別の言い回しでも、伝わっていれば正解として扱われます。逆に too ... that のように型が崩れていれば、どこがなぜ崩れているかが指摘されます。
中級構文は「知っているのに出てこない」が本質なので、口に出して詰まった瞬間を何度も作れるかどうかがすべてです。1 日 10 分、同じ構文を 5 文ずつでも、1 週間で確実に反射が変わります。
瞬間英作文そのものの考え方や、初級からの進め方は 瞬間英作文とは?効果的な練習法とアプリ活用のコツ にまとめています。同じ考え方の記事は 英語スピーキングの学習法の記事一覧 からも探せます。
まとめ
- 基本文型が言えるのに会話が伸び悩むのは、語彙ではなく「型」の不足
- 中級構文は文法として理解するのではなく、日本語の型と 1 対 1 で結びつけて覚える
- 中身より先に骨組み(
tooとto、soとthat、The moreとthe more)を口に置く - まずは会話頻度の高い 8 構文から。1 構文につき 5 文を、日本語だけ見て 3 秒で
- 覚えたつもりで終わらせないために、必ず声に出して詰まる場所を確認する
よくある質問
基本文型がまだ不安ですが、中級構文に進んでいいですか?
先に基本文型を固めることをおすすめします。中級構文は骨組みの中に主語と動詞を入れる形なので、その中身がとっさに作れないと、構文だけ覚えても文が完成しません。目安は、現在形・過去形・疑問文・否定文を日本語だけ見て3秒で言える状態です。そこに届いていない場合は、中学英語レベルの短文を先に反復してから戻ってくると、進み方がまったく変わります。
so...that と too...to はどう使い分けますか?
結果が起きたことを述べるなら so…that、できなかったことを述べるなら too…to が基本です。たとえば「疲れすぎてすぐ寝た」は結果が起きているので She was so tired that she fell asleep right away. になります。一方「重すぎて持ち上げられない」は不可能を述べるので This box is too heavy to lift. です。組み合わせを間違えて too … that としてしまうミスが非常に多いので、too は to、so は that とセットで覚えてください。
構文を覚えても、会話では出てきません。どうすればいいですか?
英語から日本語の向きで覚えている可能性が高いです。読解ではその向きで足りますが、話すときに必要なのは日本語の型を見て英語の骨組みが出る向きです。「〜すぎて…できない」と唱えたら too と to が出る、という順番で練習してください。加えて、同じ構文を1文だけで終わらせず、中身を入れ替えて5文続けて言うと、骨組みだけが記憶に残って自動化します。黙読ではこの効果は出ないので、必ず声に出してください。
中級構文はいくつ覚えれば会話で困りませんか?
日常会話に限れば、この記事で挙げた8構文が反射になっていれば大きく困る場面はほとんどありません。so…that、too…to、not only…but also、The more…the more、would rather / had better、whether、So do I. / Neither do I.、It is … for 人 to の8つです。そのうえで余裕が出てきたら、in order to、instead of、as long as、as if などを1週間に1つの速度で足していくと無理がありません。数を増やすより、少数を確実に口から出せるようにするほうが会話では効きます。
「〜すればするほど」のような構文は、日常会話でも本当に使いますか?
使います。The sooner, the better. のような短い形は決まり文句として頻繁に出てきますし、The more you practice, the better you get. のような言い方も助言や感想の場面で自然に登場します。むしろ日本語で「〜すればするほど」を無意識に使っている回数を数えてみると、その多さに気づくはずです。日本語で頻繁に使う型ほど、英語側に対応物を持っていないときの詰まり方が大きくなります。
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