海外ドラマを字幕なしで見ていると、知っているはずの単語なのに意味が取れない瞬間があります。get up、get over、get along——どれも get なのに、立ち上がる・乗り越える・仲良くやる、と意味がバラバラ。辞書を引くたびに「また get か…」とうんざりする。文法は一通り勉強したのに、句動詞だけは意味が読めない——これは多くの学習者が同じ場所でつまずくポイントです。
しかも句動詞は、ネイティブが日常会話で最も好んで使う表現です。難しい単語で言い換えれば逃げられそうですが、それだと会話がいつまでも硬く、相手の英語も聞き取れないまま。この記事では、句動詞を丸暗記ではなく「イメージ」で掴み、頻出のものを声に出して話せるようにする練習をします。
なぜ句動詞は意味が読めないのか
句動詞を「知らない」人は多くありません。get も up も中学で習う単語です。それでも意味が読めないのは、3 つの理由があります。
- 部品の意味を足しても答えにならない。
look after(世話をする)は「見る+後ろ」ではないし、give up(あきらめる)は「与える+上」ではありません。句動詞は、単語の足し算では意味が予測できない(これを非分解性と呼びます)。 - 同じ動詞×前置詞で意味が枝分かれする。
get一つでもget up / get over / get by / get alongと意味が広がる。一個ずつ丸暗記していると、いくらやっても終わりません。 - 数が多すぎる。句動詞は 2,000〜3,000 あるとも言われます。単語帳のように上から暗記しようとすると、必ず途中で挫折します。
つまり、足りないのは暗記量ではありません。前置詞・副詞のイメージで意味を束ねる「回路」と、頻出句動詞を口に出す「反復」 です。この 2 つを、これから順番に作っていきます。
イメージで掴む練習方法
アクション1:前置詞・副詞の方向イメージを掴む
句動詞の意味は、後ろの前置詞・副詞が決めています。まずこの「コアの感覚」を頭に入れると、初めて見る句動詞でも意味が推測できるようになります。
| 前置詞・副詞 | コアの感覚 | 例 |
|---|---|---|
| up | 上へ/すっかり・完了 | eat up(食べ尽くす)clean up(すっかり片付ける) |
| off | 分離・離れる | take off(脱ぐ・離陸)turn off(消す)put off(延期する) |
| on | 接触・継続 | put on(着る)turn on(つける)go on(続ける) |
| over | 越える・回復 | get over(乗り越える・回復する)think over(よく考える) |
| out | 外へ・尽きる | go out(外出する)run out(尽きる)find out(突き止める) |
| down | 下へ・記録・鎮まる | write down(書き留める)calm down(落ち着く) |
たとえば put off(延期)は、「予定を今から off = 離れた 未来へ押しやる」とイメージすると腑に落ちます。run out は「走って外へ→在庫が 尽きる」。部品を暗記するのではなく、イメージで結びつける のがコツです。
アクション2:1つの動詞でイメージ違いを声に出す
イメージが掴めたら、get を軸に「同じ動詞で意味が変わる感覚」を体で覚えます。日本語を見て、英語を声に出してください。1 セット 3 回ずつ、詰まった文には印をつけて翌日もう一度。
アクション3:頻出だけに絞って瞬間英作文
最後に、日常会話で本当によく使う句動詞だけを、日本語→英語で練習します。全部覚えようとしない。この記事に出てくる 20 個ほどを口が覚えれば、会話の大半はカバーできます。
getの句動詞を声に出す
同じ get でも、後ろが変わると意味がガラッと変わります。イメージを思い浮かべながら声に出しましょう。
get over は「山を越える→困難や病気から回復する」、get by は「なんとか通り抜ける→やりくりする」。イメージと一緒に声に出す と、意味と形がセットで口に残ります。
put・take・turn・lookの頻出句動詞
会話で毎日のように出てくる 4 動詞です。前置詞のイメージ(off=分離、on=接触、up=完了)を意識して言ってみましょう。
put off(延期)を postpone と言い換えることもできますが、日常会話では句動詞のほうが自然でよく使われます。難しい単語に逃げず、句動詞のまま口に出せるようにしておきましょう。
前置詞のイメージ別に話す
最後に、前置詞のコアの感覚を確かめながら、いろいろな動詞で練習します。out=尽きる、down=記録・鎮まる、on=継続、を意識してください。
英語がとっさに出てこない感覚が残る人は、英語が口から出ない人へ もあわせて読んでみてください。
よくある間違い
句動詞は、意味だけでなく「語順」でもつまずきます。特に代名詞(it / them など)の位置は、日本人が最も間違えるポイントです。
✗ 間違いCan you pick up it?
◯ 正しいCan you pick it up?
なぜ代名詞(it/them)は動詞と副詞の間に置く。pick up は「動詞+副詞」なので分離できる。
△ 不自然Let's postpone the meeting.
◯ 自然な言い方Let's put off the meeting.
なぜpostpone も正しいが、日常会話では put off のほうが自然でよく使われる。
pick it up の語順が難しいのは、it を「動詞+副詞の真ん中」に挟むから。pick up the box は語順自由でも、代名詞 it のときだけは必ず pick it up と覚えてください。
もう一つの落とし穴は、前置詞を1つ変えると意味が反対になる ことです。get on(乗る)と get off(降りる)、look after(世話をする)と look for(探す)は、どちらも英語としては正しい表現です。だからこそ、言いたい日本語をはっきり決めてから前置詞を選ばないと、逆の意味で伝わってしまいます。次の日本語を、正しい前置詞で声に出してみましょう。
疑問文の作り方に不安がある人は、疑問文が口から出ない人へ も参考になります。
SpeakSprintで句動詞を練習する
SpeakSprint には句動詞専用のカテゴリがあり、get / take / put / go / come / look / turn / give / make / break / run / set・pick と、動詞ごとにユニットが分かれています。日本語を見て句動詞の文を組み立て、実際に声に出して回答できます。
AI が pick it up のような語順のミスや、前置詞の選び間違いを 12 種類の文法カテゴリで指摘するので、「自分の句動詞が自然に言えているか」がその場で分かります。この記事で味わった「イメージで掴んで口に出す」練習を、毎日の習慣として続けたい方に向いています。
よくある質問
句動詞は全部でいくつ覚えればいいですか?
全部覚える必要はありません。句動詞は 2,000〜3,000 あるとも言われますが、日常会話で本当によく使うのは限られています。まずは get up や turn off、put on のような頻出の 30〜50 個を声に出して口に定着させ、慣れてきたら 100〜200 個まで広げれば、会話の大半はカバーできます。リストの上から丸暗記するより、頻出だけを例文で使うほうが定着します。
句動詞とイディオムは何が違いますか?
句動詞は「動詞+前置詞・副詞」で一つの動詞のように働く表現です。get up や look after のように、ひとかたまりで意味を持ちます。イディオムはもっと広く、比喩的な言い回し全般を指します。句動詞はイディオムの一種と考えて問題ありません。どちらも部品の足し算では意味が読めないので、イメージや例文ごと覚えるのが近道です。
目的語を間に挟める句動詞と、挟めない句動詞の見分け方は?
後ろが副詞の句動詞は分離でき、前置詞の句動詞は分離できません。turn off the light と turn the light off はどちらも正しく、代名詞のときは turn it off と必ず間に挟みます。一方 look after the baby は look the baby after とは言えません。ただし見分けが難しいので、迷ったら例文をそのまま声に出して覚えるのが最短です。この代名詞を間に挟むルールは turn it off のような分離できる句動詞だけに当てはまり、look after のような分離できない句動詞は代名詞でも look after it と後ろに置きます。
丸暗記とイメージ、どちらで覚えるのが効率的ですか?
両方を組み合わせるのが効率的です。まず前置詞・副詞のイメージ(off は分離、up は完了など)を掴むと、初めて見る句動詞でも意味が推測できるようになります。そのうえで頻出の句動詞は例文で声に出し、口に定着させます。リストの丸暗記だけだと意味がつながらず挫折しやすいので、イメージで束ねてから反復するのがおすすめです。
句動詞を使うと、かえって不自然になりませんか?
むしろ逆です。日常会話ではネイティブが句動詞を好んで使うため、put off や turn off を使うほうが自然に聞こえます。postpone や extinguish のような硬い単語ばかりだと、教科書のような話し方になりがちです。頻出の句動詞を口に出せるようにしておくと、会話が柔らかくなり、相手の英語も聞き取りやすくなります。
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